おばあちゃんの目に映る夏

 

わたしの家から遠く離れたところに

母方のおばあちゃんが独りで暮らしています。

 

きのうまで、母は1週間

おばあちゃんのとこに帰省していました。

 

久しぶりに実家に帰るというので、わたしは母に、

おばあちゃんへのちょっとしたプレゼントを託しました。

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中川政七商店の

文香です。

 

金魚のポイを立てて飾れるようになっています。

淡い色合いが涼しげで、

夏らしくてかわいい。

 

 

おばあちゃんは喜んでくれたよう。

心遣いが嬉しいと言っていた、と母。

おばあちゃんは、母を通して

私にお小遣いをくれました。

 

もう社会人にもなった私に

昔から毎年毎年、お小遣いを送ってくれるのです。

いつも真っ白な封筒にピン札を入れて、

表に筆ペンの太い文字で

『お小遣いです。』、

そして裏には、頑張ってね、身体に気をつけてね、などとメッセージをびっしり書いてくれました。

 

でも

今回のそれは、

どこか細く、震えのある、か弱い文字で

封筒の裏は真っ白のままで

 

私は少し動揺し

喜ぶことはできませんでした。

 

 

おばあちゃんは白内障気味なのだと聞きました。

あのプレゼントは

おばあちゃんにどう見えたのでしょうか。

透き通るような水の中を泳ぐ

淡い金魚は見えているでしょうか。

貰えて気持ちは嬉しいけど

なんだかよくわからないものをあげてしまったのではないか。

そんなことが頭をよぎります。

長年会えていないおばあちゃんの

身体の状態にまで気を巡らすことができなかった自分を恥じました。

 

 

それでも、部屋に飾られた金魚の文香が

少しでもおばあちゃんの心に

涼を届けてくれますように。

 

少し弱った文字が

最近のうだるような暑さのせいだけであってほしい…と願います。

 

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