ことばの定義域~『モダン』~
なんとなく使っている言葉ってあると思う。
意味を正確に分からず、または深く考えずに使ってしまう言葉。
耳ざわりがよくて、なにかを表そうと思ったときに便利な…
ラクな言葉。
きっかけのひとつが、
社内デザイナーさん同士の会話からかすかに聞こえた
モダンって一言に逃げちゃいけないよね…という発言。
どんな話をしていたのかまではわからなかったけど
ずっと頭に残っている。
モダン
辞書的な意味としては、
現代的であること。今風でしゃれていること。また、そのさま。「
モダン な建物」「モダン な人」(デジタル大辞泉)
とあるけれど要領を得ない、こういうことかと腹に落ちる感覚がない。
『モダン』でGoogle検索して提示される画像からは、
おもにインテリアのジャンルを表す言葉として使われているとわかる。
確かに、モダンっぽい(笑)という感じ。
『和モダン』なんて言葉も登場(ますます何がなんだか)。
『モダン』といっても、そこからどんな映像をイメージするかは
人によって違うのではないかと考えている。
- 落ち着いている
- おしゃれ
視覚的には
- 木目調、もしくはそれを思わせるブラウン基調
- 彩度が少ない(あざやかじゃない、くすんだ)色合いでまとめられていること。
- 無地。模様が少ない。
- 形が凝っていなくてすっきりとしている。
…こんなところだろうか。
(というか、まったく何もイメージできない人もいると思う。)
わたしが勤めているのは、雛人形や五月人形のメーカー(卸しに近いかも)。
業界も、モノが売れない・少子化などの時代の変化から
現代の住まいの環境や若い人の感性に合う商品を生み出そうという潮流がある(はず)。
そんななかでの『モダン』は、
古典的な花文様や幾何学文様などの伝統的な意匠に対するモダン、という意味合いも含んでいる。
けれども、極端にいえば
イマっぽく洗練されたものは全部『モダン』と言えてしまうなんてことになる。
それで片付けてしまうとそれぞれの商品の個性は見いだせない。
『モダン』そのものが悪いわけではなくて、
認識にズレが生じる可能性が高い言葉なのだと心にとめておきたい。
ものを生み出す人は思考をラクしちゃいけない。
もっと汗をかこう。
わたしの社内での正式な役割では(肩書きは総務部・仕事内容は主に事務)、
商品企画や広報に携わるわけではないのだけれど
小出しにアピールした結果(?)
最近、商品紹介のPOP作成などのお仕事をいただけるようになった。
きょうは、新しいブランドのコンセプト案に添える文章をつくった。
デザイナーさんの考えたロゴデザインの意図を汲み取った文にできたようで、喜んでもらえた。
ちょっとでも役に立てたら嬉しいな。